カテゴリ:気ままな感想文( 22 )

 現在から100年先の近未来の話。SEの渡辺は浮気を妻(とんでもなく怖い、自分の妻が優しく思えるほどである)に疑われ、会社では親しい先輩が行方不明になり…なんてことから全てが始まっていく。「魔王」の続編ということだが、独立しても読める。

伊坂ワールド独特の雰囲気の中で情報社会の怖さが描かれる。さらに超常的な出来事が大事なところで顔を出すのだが、その扱いが巧みである。

マジシャンのマリックがテレビに登場した始めの頃は超能力という売り込みであった。現在は超魔術である。

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実際、世の中の不可解な出来事は超科学なのか?超能力なのか?は判定できないことが多い。安易に決めつけないことが良いスタンスなんだろうね。

もっとも、ニュートンの時代から科学と魔術は一体であったというのが史実でもある。



出版社:講談社
著者:伊坂 幸太郎 (著)
価格:¥ 1,785
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 今日は3学期の始業式である。テストあり、大掃除ありで休み惚けした身には少しつらい。
 しかし、仕事をするというのは気持ちがいいものである。多少なりとも充実感がある。たとえ定年になっても周囲の人たちの役に立つようなことをしていたいと思う。
 定年後は恩返しの人生のような気もする。

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 休み中に表題の本を読んだ。木田元さんはもっと気難しい正統派の哲学者だと思っていた。もちろん、その研究は正統派であることに間違いはない。その人生が正統派ではない?という意味である。戦後の乱世を様々な状況で生き抜いた面白さがある。つまりエリートコースを挫折無く来た人ではない。逆にこういう人の哲学が本物のような気がする。いわく「哲学をやっても役に立ちません」とのたまう。

 自分の人生を語り、専門のハイデガーの研究に言及する。ハイデガーは結局「存在とは何か」を語っているというのである。

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(PHP新書) 木田 元 (新書 - 2008/10/16)
新品: ¥ 777 (税込)
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 伊坂幸太郎さんの最新作(新潮社1600円)である。

 読みやすい文章で直ぐに引き込まれる。本によっては喉に小骨が刺さったように、引っかかってしまって読みづらい本もあるのだが、この本は違う。

 面白いように素直に頭に入って来る。まるで自分が映画の主人公になったような映像さえ浮かんでくる。

 ”権力”の持つ本質的な不気味さを具体的に実感として表現していく…が、伊坂さんの世界特有のユーモアや優しさがここでも健在である。

 是非読んでみてください。お薦めです。
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 しばらくブログが更新されていなかったので「大丈夫ですか?」と気遣ってくれるメールがありました。何はともあれ心配していただけるというのはありがたいものです。もともと甘えん坊で依存性の強い私としては、それだけで癒されます。

 色々な事情で珍しく忙しかったのも原因ですが、定年を間近に迎えて色々な迷いが出てきたの一因のような気もします。少しカッコつけて言うと、どうやって生きて(死んで)いこうかというようなことかもしれません。
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 そうそう、タイトルの本の話でした。岩崎学術出版社、馬場禮子さんの本です。書名は堅苦しいもので、私のような門外漢には敷居が高く感じられて大分損しているんじゃないかな。内容は大変平易で気持ちよく読めます。第一人者と言われる人にありがちな自惚れも過剰な謙譲もなく、自然体で書かれています。要旨をまとめようと思ったのですが上手くいきません。そういうことを望まないような書きぶりのせいにしておきます。敢えて言えば「転移と抵抗」に着目しながらセラピーをすすめれば良い…ということでしょうか。

 読み終わって周囲の人と柔らかく対応できるような気がしてきました。これが錯覚で終わらないように…と念じつつ。
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 最近(6/1)に三冊目がでた。作者は呉智英(くれともふさ)さんである。最初は読み方が分からなくて「ごちえ」と読んでいたりしたが、とかく人名は難しい。

 我が家に一冊目と三冊目がある。一冊目を読み始めたらぐんぐんと引き込まれて、最新刊も読みたくなったので今買ってきたのである。読むとマンガに対する考えが変わる、またはクリアになること受け合いである。率直で素直な感性の知識人がマンガを読み解けばこうなるかという本である。30冊以上のマンガとそれに対応する古典本との対比で書かれていて、それぞれ読み切りで読みやすい。それというのも元はダヴィンチという雑誌に連載されていたものをまとめたからである。

 著者はM大学でマンガ論の講義をしている。そう話すと「え〜!マンガを読んでるとバカになりませんか」とよく聞かれるらしい。バカはご自身である。マンガを読んでいようといまいとバカになる奴はどう転んでもバカになる、バカにならない奴はどっちみちバカにならない。…と明快な文章が書いてある。そう、とにかく明快なことがこの本の特徴の一つである。

 小林よしのりの「ゴーマニズム宣言」など名状しがたい感覚や戸惑いをマンガに感じたことのあるひとは是非この本をお読みになると良い。それらを納める言葉を与えてくれるのである。

 この本のおかげで、幸か不幸か紹介されている本やマンガを読みたくなってしまった。本の雑誌「ダヴィンチ」の陰謀かもしれない。
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 伊坂幸太郎さんの新作である。

 久しぶりの伊坂さんの書き下ろしだったので貪るように読んでしまった。
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 「フィッシュストーリー」とは、ホラ話という意味があるそうである。なるほど日本でも「逃がした魚は大きい」という諺もあるとおり、国の東西を問わず釣果は大きくなるものである。

 泥棒の話であるが、これから読む人もいることなので筋書きは書かない。いつものことであるが読後感がとても爽やかである。

 伊坂ワールドの特徴であるフワッとした優しさ、ほろ苦さ、胸が詰まる愛情、何気ないユーモアに満ちている。

 元気がなくなったとき何度でも読み直したくなる本である。
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 第1弾『陽気なギャングが地球を回す』で活躍した銀行ギャングの4人が、それぞれの能力を活かし、気ままに活躍する。意味も無く関連も無いように思えたさまざまなできことが巧みに収斂していく。その意味では「ラッシュライフ」に似た趣もある。

 いつも思うことだが、伊坂作品は導入部が滑らかである、いつの間にか本の中にのめり込んで読んでしまう。相変わらずテンポのいい展開が心地よい。前作が映画化され、封切りされているが、前作を読んでいない人でも十分楽しめる。一読をお薦めする。

書名:陽気なギャングの日常と襲撃
著者:伊坂幸太郎
出版社:祥伝社
サイズ:新書/273p
発行年月:2006年05月
ISBN:4396208138
本体価格838円 (税込 879 円) 送料別
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Today is the first day of the rest of your life.
「今日という日は残された日々の最初の一日。」 ----by Charles Dederich

この文章が最初の扉に引用されている。

 ここだけで、しばらく考えさせられました。
 う〜ん!そうか…、そうだよな。
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 早く読んでしまっては勿体ないのでじっくり読みました。余韻が心地よく、しばらく時をおいてまた読み直したいと思っています。

 終末を3年後に迎える人々の生き方を描く。

 死から光を照射することによって、生が浮き彫りにされる。できるだけよけいな解説をすることなく、思い込みや感情を抑えて描かれる。

 読み進むうちに気がつく。
 3年後の終末でなくても人間が死んでいく状況は、いつでもこの本の状況と本質的には変わらない。
 
 主人公が章ごとに変わるが、それぞれの人生の接触がさりげなくリンクされていてリアリティーを増している。

 あっ!そうそう、装丁が凄く良いです。今までの本の中では1番です。伊坂さんの行間や文体の、何ともいえない知的爽やかさや柔らかさが表紙に出ています。

著者 伊坂幸太郎
出版社名 集英社
税込価格 1,470円
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 すごいバカのことではありません。

e0020386_21195868.jpg 後書きに「もういい加減にしろと、言いたくなる」と書いてあった。さすがにこれだけ矢継ぎ早に出版されるとウンザリという感じも否めない。

 しかし、私は養老先生のファンであるので、養老と書いてあれば近づいていくのである。どの位のファンかといえば、このあいだなど、飲み屋に行く途中で〈養老の滝〉にビクッと反応したくらいである。

 しつこくても、なぜ繰り返し書くのか。

 それは、モノの見方考え方を伝えるのが老人のつとめだからである。

 この本はこれまでの本と違って、新潮社の編集の人を前に話したものが元になっている。

 そのせいか、幾分分かりやすく平易になっている。養老先生は、ケッコウ刺激的に、やや挑戦的に断言する癖があるのが、この本ではそれが無い。

 靖国問題、憲法問題、オンリーワンなど今まで養老先生の話しがモヤモヤしていた部分が氷解する。

著者/訳者名 : 養老孟司/著
出版社名 : 新潮社 (ISBN:4-10-610149-1)
発行年月 : 2006年01月
サイズ : 190P 18cm
価格 : 714円(税込)
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e0020386_0155328.jpg宇宙はひもでできている。

 物質の最小の構成単位は粒子ではなく「ひも」である。最初この話しを聞いたときには少しショックであった。

 その「ひも」は理論上の都合で仮定したモデルではなく、実在のものであるというではないか。

 そして、これ以上分割出来ない最小の長さ、最短の時間が存在するらしい。ならば最小の長さの「ひも」が基本構成単位でもおかしくはない。

 超ひも理論がモテはやされた時期も、そうでないときもあった。現在第二の波が来ていて、そこでは私にはよく分からない「Dブレーン」とか「M理論」などというものが活躍しているようである。

 極微の世界を知るには、エネルギーや温度がとてつもなく高い状態が必要であるという。それはまさに宇宙の歴史をさかのぼり誕生の頃を調べる事に対応する。

 極小と極大がつながる。

 そんな事を考えていたら、胎児の発生、成長が生物の進化の歴史を繰り返すという話しを思い出した。

 全体の情報は局所に存在するのかもしれない。全体は部分に含まれるのである。

書名:「はじめての〈超ひも理論〉」
川合 光著
税込価格 : \840 (本体 : \800)
出版 : 講談社
サイズ : 新書 / 273p
ISBN : 4-06-149813-4
発行年2005.12
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