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《気ままな感想文-6》終末のフール

Today is the first day of the rest of your life.
「今日という日は残された日々の最初の一日。」 ----by Charles Dederich

この文章が最初の扉に引用されている。

 ここだけで、しばらく考えさせられました。
 う〜ん!そうか…、そうだよな。
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 早く読んでしまっては勿体ないのでじっくり読みました。余韻が心地よく、しばらく時をおいてまた読み直したいと思っています。

 終末を3年後に迎える人々の生き方を描く。

 死から光を照射することによって、生が浮き彫りにされる。できるだけよけいな解説をすることなく、思い込みや感情を抑えて描かれる。

 読み進むうちに気がつく。
 3年後の終末でなくても人間が死んでいく状況は、いつでもこの本の状況と本質的には変わらない。
 
 主人公が章ごとに変わるが、それぞれの人生の接触がさりげなくリンクされていてリアリティーを増している。

 あっ!そうそう、装丁が凄く良いです。今までの本の中では1番です。伊坂さんの行間や文体の、何ともいえない知的爽やかさや柔らかさが表紙に出ています。

著者 伊坂幸太郎
出版社名 集英社
税込価格 1,470円