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いずれアヤメかカキツバタ

五月の花札のデザインには深い物語がある。伊勢物語の主人公(在原業平?)が旅の途中でのこと、三河の国の八つ橋の傍らに咲く杜若(かきつばた)を見て詠んだ次の歌からデザインされたものである。
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「からごろも(唐衣)  き(着・来〕つつなれにし つま(妻・褄)しあれば は(遥・張)るばる き〔来・着〕ぬる たび(旅・足袋)をしぞ思ふ 」
《唐衣を着るように慣れ親しんだ妻がいますので、遥々遠くまで来た旅に 思いふけってしまいます》

か・き・つ・ば・た

が頭に読み込まれ、その他にも様々な修辞が駆使されている。

 花札は平安時代からあるようだが、その斬新なデザインに驚かされる。美術的なものだけでなく、その奇妙な暗号のような図柄を読み解きたいと思っている。また報告したい。

 五月の歌といえば、次の歌も瑞々しく素敵である、

「ほととぎす 鳴くや五月の あやめ草 あやめも知らぬ 恋もするかな」

《五月に飾るあやめ草、そのあやめではないが、物のあやめ(道理)も分からぬほど理性を失った恋をすることだ…》古今和歌集、詠み人知らず。